2010/08/24

パリでの夏休み

 去年からJPがよくパリに出張している。
そして、わたしも2009年の十月から受けていた指圧の研修や試験のために、何度かパリを訪れた。
そのせいで、子どもたちが「いつになったら、わたしたちも連れて行ってもらえるの?」と言い続けるので、この夏休みは、パリ観光をすることになった。
決心するのがちょっと遅かったので、都内の安いホテルを見つけるのはただならぬことだったし、安いホテルのふわふわなベッドでは寝ることのできないJPの希望で、一泊、一人150ユーロもするシャンブルドットに泊まることになった。

http://www.uncielaparis.fr/presentation.html

 シャンブルドットChambre d'hôte というのは、他人を泊めるための特別な部屋と、風呂場などが取り付けてある、見た目は一般家庭と変わらない普通の人に普通の家。でも有料宿泊施設として認められた家で、民宿協会みたいなところにちゃんと登録されていて、施設に応じた料金表もある。毎日新しいタオルが出してもらえて、部屋の掃除もしてもらえるし、豪勢な朝食に、頼めば夕食も作ってもらえる。そこの家族のお客さんではなくて、お金を払って泊まる宿泊客なので、いっしょに食べるのではない。
 わたしたちはこれまでにも、各地を観光する際に、地元の風土料理や、訪れる地方の特徴のある民家での、自分たちの地方とは違う暮らしを体験したいので、シャンブルドットに泊まることが多かったのだが、パリの市街地では、狭いアパートが多いので、まさかパリでもそんなシステムを利用できるとは、思ってもいなかった。

 かなり高級なアパート。セキュリティー・システムも頑丈なアパルトマンのドアを押した。玄関に六つも錠がついていた。
 真っ白な歯が輝くハンサムな紳士が、ドアを開けて、いそいそとわたしたちのリュックサックを部屋に運び入れてくれた。すばらしい真珠のネックレスに、手入れの行き届いた髪型。指の先まで美しい、自分ちでもハイヒールとワンピースを着ている優雅な奥さまに出迎えられた。もうかなり緊張してしまって、自分の運動靴しか目に入らない。
 ルイ何世だかの調度品に囲まれた、パリの普通のお宅のサロンに通された時には、はっきり言って緊張した。「パリだと《普通》なの?これ?」と心の中で叫ぶ。ゾエは「この人たち、誰?」と言っていた。「大声出すんじゃないよ」と母に小突かれる。パパの知り合いをちょっと訪ねただけと思ったらしい。
「このお宅に泊まるんだよ」と言うと、一気に緊張の色が顔にあらわれたのは、ノエミ。
「ママン、ドレス来て、ハイヒール履いて来るべきだったんじゃ?」
リュックサックに運動靴で、こんなお宅にお邪魔するのは、わたしぐらいでしょうか。。。。
JPなんて、Tシャツだし。ゾエの頭はヤマアラシだし。。。

 ご主人の定年退職を機に、独立した子どもたちの部屋を改造して、ふた部屋だけを観光客に提供している。部屋の入り口にホテルみたいな値段表や約束事が書いてあって、その部分だけが「わたしたちはこの人たちの友達じゃないんだ〜」と思わせる。アパルトマンのほかの部分は、ルイ何世のサロンも、中世からあるみたいなピアノも、勝手に使ってよいらしい。滞在中、自分たちの部屋以外はわたしたちは手を振れることもしなかったのだけど。。。子どもたちが割ったらいけないと思って、洗面所の割れ物は全部棚の一番上に載せた。
「アンタたち、口をゆすぐ時にはコップは使わずに、手で水をすくってうがいやンなさいよ。」
と言ってる自分が悲しい。ああ、もっと子どもを優雅に育てていれば。。。
 
 朝早くから出かけて、一日中遊び歩き、夜遅くに戻って来て寝るだけだったので、二人部屋が一つで150ユーロなんて。。。ちょっと、高価すぎたんじゃないかと思った。わたしは、ヴァカンスから戻ったら、雑炊グラシを強いられるんじゃないかとヒヤヒヤした。
 「パリでは費用節約のために、毎日昼はサンドイッチだ〜」と心に誓っていたわたしだったのに、JPは、昼も夜もちゃんとしたレストランに連れて行ってくれ、午後はサロン・ド・テやカフェでケーキとお茶をごちそうしてくれ、夕方になるとパリのビストロにまで案内してくれた。パリで入ったレストランは、イラン料理、ポーランド料理、中央高地のフランス料理、イタリア料理、韓国料理、ロシア料理。わたしは日本料理を食べようと思っていたのに、JPは「我が家以外の日本料理は全部ニセモノだ」と言って、日本料理店には絶対に入らない主義。困ったヤツだ。韓国料理の鍋はおいしかった。日本人のくせにはじめて韓国料理を食べた。

 パリでの写真はこちらから。たくさんありすぎるので、これからも少しずつアップしていく予定。
とりあえず、初日に宿泊したパンテオン近辺と、二日目に訪ねたヴェルサイユ宮殿。宮殿奥の、マリーアントワネットのお庭が大好き。
パリの夏や、どこもものすごい観光客の群れで、ゾエにはちょっときつかった。でも、ノエミは、宮殿も美術館も、興味を持って歩き回っていた。
 
 http://www.facebook.com/album.php?aid=31497&id=100000112720171&l=15303e9d1a

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