2009/12/15

 自宅二階の窓から。


 子どもたちが風邪を引いているので、ここのところ学校を休ませている。大したことはない。熱も二日で下がったし、もらった薬も飲み終わったので、月曜日の今日は学校に行かせるつもりだったのだが、日曜日の朝にまた咳がひどくなり、けっきょくまた休ませた。

 なので、親子で10時まで寝ていた。平日に家族四人で、超朝型のJPまでもが10時まで寝ていたとは、すごい。
10時半頃、台所でうだうだ朝食をとっていると、雪が降り始めた。どんどん降り始めた。ずっと降っていた。びっくりした。12月に雪が降ることはカーモーでは珍しい。三日前に初霜だったのに。。。

 お昼すぎに日本から小包が届いた。
朝隈俊男氏の作品がたくさん届いた。送ってくださったのは、《楽天》などで朝隈くんの作品を販売してくださっている(株)周プランズワークという会社の方だ。頼まなかったものまで、どっさり入っていた。丁寧に一個一個、包んでくださっていて、みんな無事に届いた。うれしい〜〜。
http://www.shu.co.jp/

 朝隈くんは、中学と高校の時の同級生で、中学の時にはいっしょに剣道部だったけれども、男子と女子がとけ込めないお年頃だったし、わたしは野球部方向ばかりを見ていたし、などなど。。。あまり接点はなかった。わたしは部活動がいっしょだったせいか、記憶力がよろしいからか、おとなしい彼のこともよく覚えていたが、高校の同級生女子の多くは「だれ、それ?」というような彼であった。でもわたしが「卒業アルバムの寄せ書きで三年一組の担任の似顔絵を描いた人だよ」と言うと、みんなが「あ〜」という。あれはインパクトのある似顔絵だった。

 三年一組というのは三年生でただひとクラスだけ、別な校舎にあったし、数学の得意でキレそうな男子ばかりのクラスだったし、三年一組の男子は美人しか受け付けないような人たちばかりであったので、あの辺りはわたしにとっては立ち入り禁止地区であった。なので、朝隈くんともしゃべった覚えもすれ違った覚えもがない。

 朝隈くんのことをただ一人「彼はちょっと変わっていて、素敵」と言ってる少女が、友人女子の中に約一名いた。わたしはその子といっしょに上京したので、社会人になっても、東京に行ってまで、しつこくいつまでも友人が「朝隈くん♥」のことをそばでよく語ってくれたために、朝隈くんのことは忘れるどころではなかった。彼女の好みはTMネットワークの小室さんとプリンスだったのに、なんでそこで『朝隈くんも素敵♥』なのか、わたしにはよくわからなかった。

 彼女のパワーかなんだろう?東京・渋谷の、今はなき大盛堂書店、地下一階から八階まで本屋さんっていう、鹿児島じゃ考えられない書店でバイトしていた時に、6階でレジを打っていたら「えんどーさんっ!?」と声を掛けられた。朝隈くんだった。びっくりしたけど、いっしょに上京した友人女子にはすでに、小室さんそっくりな彼ができていて前ほど会わなくなっていたし、わたしはビンボー暇なしで友達も居なかったから、朝隈くんでも、すごくうれしかった。(でも?)

 朝隈くんがわたしのことを覚えているとは驚きであった。彼はひょうひょうとしていて、女子の名前などはどーでもいいような人だったように思っていたし、わたしは控え目で目だたない少女であったし(さえないオンナと言え?)、朝隈くんとわたしの間に接点って。。。なんだろう?

 同じ中学の剣道部で、あの頃には近づけなかった同級生男子と、この前里帰りした時に話しをした。(彼こそ昔から美人好きだったので、わたしは話したこともなかった。歳を取ると丸くなるものなのだ。声をかけてもらえた。)「エンドーさんって、一人だけ剣道着が白だったよね。朝隈と二人で『すげ〜』って言ってたんだよ」と言われた。そんなことはわたしも忘れていた。剣道着が白だったので、朝隈くんも覚えていたのだろうか。ってことは、彼らは首から下は一応見てたんでしょーか?

 わたしが日本を出たのは1989年。東京を出てから朝隈くんとは15年ぐらい音信不通になっていたのだが、数年前に再会を果たした。スティングがポリスの再編成コンサートをした日にも会った。東京公演の日にちょうどわたしは東京にいて、公演のあと飲み会に加わった朝隈くんとピース久保田から自慢話を聞いた。

 わたしは家を飾ったりする物や、ただ置いて眺めるだけっていうような物には、これまであまり感心がなかった。これまでの人生で、そんなものに浪費する経済的な余裕はあったためしがないし、「ただ見ていて幸せになれるから、無理してでも買う」というようなもので、かつ自分でも買えそうなものに出逢ったためしがないので、そんな贅沢はしたことがない。

 ほぼ20年ぶりぐらいに朝隈くんと再会した時に、「今こんなの作ってるんだよ」と言って、腕組みをしているブルテリアと地べたに座り込んでくつろいでいる象をもらった。ニッと笑った顔の動物たちが、朝隈くんらしくておもしろかった。『朝隈くんらしい』と、どうしてわたしなんかにそう言えるのかわからないけど、こんな素敵な作品が作れるならば、彼は素敵な大人になったのだろうと思えてうれしかった。東京で自分が苦労している時に、思いがけず再会した同級生だったので、そのあとも「どうしているかなあ」とずっと気になっていたのだ。アーティストなんて誰にでもなれるわけじゃないもの。ずっと怪獣を作っているのかもしれないと思っていた、じつは。

 朝隈くんの作品に触れてから、ずっとずっと朝隈くんの作品が欲しくて欲しくてたまらなくなった。そして去年の冬はじめて、彼の干支シリーズの中から『丑』を手に入れることができた。帰国している間に実家に送っていただいたのに、こっちに戻るまでに届かなかったので「来年もまた帰国すると思うから」と言って実家に置いたまま。とうぶん日本には帰れそうもないので、『丑』はもうしばらく母に預けたままだろう。
『寅』はフランスに直接送ってもらう。楽しみ〜。

 フランスでも個展をやってもらえないかと思って、今いろんな人に声を掛けているところ。
朝隈くんがハデなアロハシャツに、変な帽子をかぶって、猫と同じショッキング・オレンジ色の携帯を手に、にへらと笑ってフランスに来てくれる日を楽しみにしている。

http://clayanimals.net/gallery.html

 雪が降って外が静かなので、窓辺にいすを置いて、「これはジャズだな〜」と言いながら、ジャズを聴いてるところに小包が届いた。ジャズを聴きながら、朝隈くんの動物たちを何時間も何時間も眺めて過ごした。


 うまく撮れなかったけど、ハーモニカを吹いているんだよ。
 右足でリズム取ってるの。

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