2009/02/24

2月6日 成田へ到着






 我が家からカーモー駅まで車で連れて行ってもらった。
カーモーからトゥールーズの駅までちょうど1時間。
トゥールーズの駅からトゥールーズの空港までバスで20分ぐらい。
トゥールーズ空港から、ドイツはミュンヘン空港まで約1時間半。
ミュンヘンから成田まで約11時間半。

 ドイツの空港で遅れが出ていたので、成田に着くのも遅れるだろうと思ったら、やっぱりそうだった。
荷物の受け取りや携帯電話のレンタルに手間取っていたら、乗る予定だったバスにも乗り遅れ、「お昼いっしょにどう?」と言ってくれていた《やっさん》に「お昼いっしょにできない」と電話する羽目になった。15時にはまた別な約束もあったので。

 リムジンバスでホテルに直行。乗り換えも無く安心だった。ホテルは《やっさん》に取ってもらった。御殿山の、わたしナンゾにはもったいない良いホテルだ。でも、ここは《てーさま》との思い出の場所だし、やっさんの職場の下で会うのにもたぶん便利だと思った。方向音痴のわたしには空港からホテルまで直行のリムジンバスがあるのもいいし、「1回泊まったことのある場所」というポイントはかなり高い。お金には換えられない快適さを求めると、お金が掛かる。旅行中はそういうことばっかりなので、お金がないと旅行ができないっていうのは身に沁みてよくわかる。

 疲れすぎていて、15時の約束はけっこうどうでも良いような気になってきた。どうせやっさんは上で仕事してるんだから、ちょっと電話して、おりて来てもらってお茶でも。。。と思ったのだが、部屋に入ってお風呂を見たら、湯船に直行してしまった。ながなが時間を掛けて疲れを取り、ついでにお風呂の中で寝てしまい、15時の約束には大幅に遅れた。

 15時の約束は、フランス人の剣道仲間の《JJさん》。JJさんは、わたしと逆で、日本人女性と結婚していて、日本に住んでいる。日本語はペラペラで、彼の剣道も日本人を見てるみたいだ。流鏑馬(やぶさめ)の衣装がとってもよく似あい、頭の形もまるで日本人。それで、わたしたちは霞ヶ関ビルの31階で、おいしいエスプレッソコーヒーを飲んで、共通のお友だちであった《てーさま》や、剣道範師の佐藤先生について語り合い、バカを言って、不景気について語り、JJさんが発行している歴史の雑誌を見せてもらったりしているうちに、時間はどんどん過ぎてしまった。

 で、16時の約束はすっぽかし(じつは、相手の都合が悪くて、約束の場所にはいなかったらしいので良かった)、18時頃とお約束していた武蔵境の《てーさま》の実家に、19時半に到着してしまった。相変わらずはた迷惑な人間だ。

 《てーさま》の位牌があった。ご両親のお隣に座っていた。かわいらしい結婚式の写真があった。《兄じゃ》も相棒の《いぬやまさん》も揃っていた。姪っ子ちゃんは美しくおきれいな女性に成長していて、《おねえちゃん》はすっかりやせてほっそりしていたけれども、前と同じように温かいお茶を出してくださった。いなかったのは《てーさま》だけだった。
 
 寂しいけれども、残念だけれども、みなさんのお話を聞いていると、壮絶に、けれども安らかに、「自分が死ぬ時にはこんな死に方ができたらいいな」と、もしかしたら《てーさま》が誰かに語っていたかもしれないような、そんな最期だったらしい。ご家族はみな平穏なお顔をしていて、《てーさま》はきっと心を残すことも無く、ただ、おそらく想いや思い出や愛情や何かしらの《教え》をわたしたちに残しておいてくれたのかもしれないけれども、わたしは、その家に《てーさま》がフラフラさまよって、うろうろしている姿も、そんな 気 も、いっこうに感じられなかった。

 彼女はもういなかった。きれいさっぱり、もうそこにはいなかった。逝ってしまっていた。だからわたしはとっても平穏な気持ちになった。ご家族に会いに行けてよかった。ここにもわたしたちの帰る場所があったと思わせていただいた。《てーさま》の身体が帰らない代わりに、こうやって、思い出をしみ込ませた誰かが、たまにあそこに帰って、家族といっしょに思い出を語り合うのも、《てーさま》の里帰りになるのかな?と、ちょっとだけ勝手なことを思った。

 ほんの少ししかいられなかったけれども、佐藤家のみなさんに温かく迎えられ、温かく見送られ、わたしは友人たちの待つ場所へと向かった。

 彼らもまた、そこにいた。この前いっしょに秩父の地蔵尊巡りをやった友人《か》も、《クマさん》も、《ピースくぼた》もいて、みんなで乾杯した。《やっさん》は遅れたけれどもやっぱり来てくれた。

 明日から仕事なので、いつもよりも早い時間に解散し、ホテルまでやっさんと歩きながら、古郷のかあちゃんについて、さんざん語り合った。古郷のかあちゃんには、おたがいに心痛めているのである。これでも。でも、ここ数年のかあちゃんのおかげで、ここ何十年もろくに古郷を振り向かなかったわたしたちが、あそこに引き戻されているのだから、ありがたいものヨ。

 やっさんはお正月に自家用車で東京から鹿児島まで里帰りをした。なんと18時間もかかったそうだ。わたしなんか、東京よりもずっと近いところに住んでいるんだなあ〜と思った。

 指宿は、いやはや、まことに地の果てだ。日本に帰り着いたのに、指宿はまだまだ先。。。

とりあえず、明日からシゴト〜〜。

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