2008/05/22

え?もらっていいんですか?

 5月1日(木)は、メーデーで、全国一斉に例年通り休日だった。国を挙げて労働組合の人たちが拳を振り上げ、デモ行進をやっていた。
 5月8日(木)は、1945年の終戦の日だったので、フランスのために闘って亡くなった人たちのために、パレード行進をやった。こんな所に日本人が立っていていいんだろうか?と思ったりもした。もちろん石は投げられなかった。
 5月15日(木)は、教育関係の人たちのストで、学校職員や学生たちが、学校にもっと職員を増やして欲しい、もっと学校のためにお金をくださいと、大声を張り上げて行進した。
 5月22日(木)の本日は、公務員のストだったので、JPは仕事に行く代わりにデモ行進に参加していた。

と、いうわけで、5月の木曜日は、一度も学校に行かなかったのである。

 ガソリンが急激な値上がり(1リットル1.5ユーロを切ったところもある)を見せ、運送業界・漁協組合・タクシー協会が、ガソリンは商売道具なので、援助をして欲しいことなどを訴えるストが各地で行われ、石油基地などが乗っ取られた。そうして町からガソリンがなくなった。
 テレビやラジオでは中国の大地震の模様と、ミャンマーの台風の映像が盛んに報道された。各地のテロリストも至るところで爆弾を爆破させていて、イングリット・ベタンクーはいまだに解放されていない。世界はなにやらとっても不穏なのに、フランスのカンヌでは盛大な映画祭をやっていて、じつに華やか。

 年末にガソリンの値上と、過大消費に心痛めながら、スーパーを出ると、そこに薄いジャンパーを着た、若いホームレスのお兄さんがいた。。。ということをこの公開日記にも書いた。

 さて先週の水曜日の朝、ゾエと二人でショッピング。スーパーを出ると、例のお兄さんがそこにいた。年末には薄くてペラペラに見えたジャンパーが、いきなり夏日となった空の下では、見るだけで汗が吹き出るような、うっとうしい分厚いコートに見えた。冬の間に見かけなかったので、「あのジャンパーでは生き延びれなかったのかも?」と思っていたら、ちゃんと、同じ姿でそこにいたので、ちょっと安心と言うか、気の毒だった。このお兄さんは、ヒゲが伸び、前以上に痩せて、ますますイエス・キリストに似てくる。背中に背負っている荷物は相変わらず重そうだ。夏に向かって「毛布は要らなそう」と思うんだが、ホームレスのお兄さんには毛布を片付ける場所がないんだろう。

 信号は赤で、お兄さんが近づいてくる。手には缶詰を改造したカップを持っていて、お兄さんは中の小銭をじゃらじゃら言わせながら、車のそばを通り過ぎる。わたしは、後ろに座っているゾエに、小銭を持たせた。
「お兄さんが来たら、窓から手を出して、カップに入れてあげるんだよ。」

 お兄さんは、窓から出た小さな手に、近づいてもいいのかどうか戸惑った。そうして、わたしに向かって「もらってもいいんですか?」と丁寧に訊いた。ゾエの小銭がカップに落ちるチャリンという音を聞きながら、わたしは泣きたくなった。子供にそんなことをさせてよかったのかどうか、あとから悩んだ。

 わたしは、人にこんな風に、お金を上げるのが嫌いだ。どうせ、いつも、お財布には大した金額が入っていない。それに、管理が悪いせいでいつもお金には困っているので、人に恵んであげてる場合じゃない。。。と、これがたいていの場合の正直な気持ち。
 今週も収入はなかった。ガソリンを使って走り回ったのに、収入には繋がらなかった。相手は何百ユーロの話をしているのに、わたしはお金を払って子供を預けて、収入にもならないことで走り回った上に、地球まで汚している。ホームレスらしき人の中には「この人は1日に、自分よりも多くの小銭を稼いでいるんじゃないだろうか?」と思いたくなる人もいる。

 たとえばカーモーの郵便局前に座っているおじさん。
彼は、いつもお酒の臭いをさせている。郵便局の前に座っている時には、冬でも裸足でいるが、実は別な日に、いい靴を履いて、ビールの缶がたくさん詰まった買い物袋を提げた彼が、銀行のATMの機械で、お金をごっそり下ろしているのを、この目で見た。それ以来、わたしはとってもシビアになったのだ。

 離婚した友だちが、新しい家で、古い思い出に触れたくないと言って、前のダンナさんの前で着ていた服や、前の家で履いていた靴をどっさり持って来て、わたしにくれた。ちょうどジョギングシューズを買おうと思っていたので、彼女の真新しいピンクのシューズを見た時「ラッキー」と言ってはみたものの、その横に置かれた、彼女がウェディングドレスに合わせて買った、パールピンクのハイヒールを見た時に、不吉な気分になってしまった。昔からお下がりには慣れているので、いつも人がくれるというものは喜んでもらっているのだが、こればかりはちょっと履く気になれなかった。

 五月が終わろうとしている。

剣道クラブでは、一年の締めくくりの飲み会が行われ、飲み会の前にはちゃんと剣道もやった。

本日は、ノエミはヴァイオリン、わたしはフルートで、音楽学校のコンサートに出演する。デュオの予定だったのだが、決心するのがちょっと遅くなり、デュオを完成させるには時間が足りなかった。ノエミとのデュエットは6がつのコンサートで。

30日は、長年お世話になった商工会議所のナディンが定年退職する。

さあ、一年の締めくくりの、六月がやって来ようとしている。
 

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