2008/03/25

2月15日 今ごろ鹿児島について、どーする?



 燃ゆる想いにくらぶれば、煙は薄し桜島山
とか言った人がいたが、たしか、そのころは黙々と煙が上がっていたんじゃないか、と思う。

 さて、あまりにも待たせすぎて、すごい日記を書かなきゃならないかと思うと、かなりプレッシャーだ。。。
ところで、2月15日なのである。

 やっさんが迎えに来てくれるはずだったのに、約束の時間にいきなり「死んでる。。。」という電話が来た。そんなことが言えるのは、まだ生きているからだから、電話まで這って来れてよかったね、と思う。病院に行って会社は休みなさいね、と言って電話を切る。

 仕方ない。一人で羽田まで行くしかない。荷物持ちに使おうと思っていたやっさんが、来れなくなってしまったことを考えただけで、ドドーッと疲れが出た。フロントで訊いたら、バスで駅まで行って、電車を乗り継いで、どのくらい時間が掛かると教えてくれる。慣れたもので「タクシーだったら2400円ぐらいですよ」とにこやかに教えてくれる。ま、いいか、ゆうべの宴会では一銭も払わなかったから、友だちに送ってもらったと思って、タクシーで行っちゃおう!

 タクシーのおじさんは、とってもおしゃべり。カーナビに逆らって、裏道を走るのを趣味にしているようだった。「カーナビはこう言ってますけど、あたしゃあ、こっちから行って時間稼ぎますぜ」と言ってる。警察のレーダーを感知する機械は、料金メーターの上にゴムバンドで留めてあって、ぐらぐらしてたけど、「コイツのおかげで、あ、ほらね、あそこに警察居たでしょ?」自慢してる。どうせ60キロぐらいしか出してないんだから、レーダーなんかには引っかからないと思うんだけどねえ。

 「ミラベル」で戴いた花束がどうしても捨てられず、母に花束を持って帰ってあげたかったのはいいが、手荷物で預けられずに、苦労した。国内線は、国際線に較べると低空飛行なので、地上の様子を見ることができて楽しい。行ったこともない四国の辺りも飛んでいたようだ。

 鹿児島空港には、宴会場からタクちゃんが電話してくれたおかげで、お迎えが来てくれていた。途中で「道まちがっちゃった」とか言いながら、ちゃんと遠回りをしてくれて、高速道路なんぞを通らずに、桜島を裏から眺める、わたしの知らないコースで帰って来た。鹿児島市街を抜けてから指宿までは、海岸線の一本道で大隅半島を眺めながら、ねじを巻き直すにはちょうどいい距離だ。この間に時差がだんだん縮まって行くような気がする。薩摩今和泉の松林を通る頃に、指宿が近づいてきたことを感じて、ドキドキして来る。そういうころが、夕焼けどきというのは、よくない。迎えにきてくれた友だちに、お茶をごちそうするよと言ったけど、また別な用事で、夜になってから鹿児島までUターンしなくちゃいけないというし、なんだかとっても疲れているようだったし、どうせまた会えるはずだったので、実家まで送ってもらってお別れをした。お土産は今度会った時に渡すねと言った。

 父の仏壇を見ても、夏ほどの感慨がなかった。わたしは、きっと、もうここに帰って来ても、父が居ないことに、そして、この仏壇という箱の中に、誰もいないことを、理解し始めたのだと思う。父は、いつも側に居る。だから、わざわざここに来なければ、話を聞いてもらえないということはないのじゃないかと思う。来て元気な姿を見せたって、いつもわたしが走り回って疲れている姿や、行儀悪い格好で寝てる姿なんか、見られているはずなので、どーしよーもないと思う。
 いちおう「帰って来ました。ありがとう。タクちゃんのお父さんをよろしく。元気にしてあげてください。たのむよ」と頼む。
子どものことや、JPのことを頼むのは、すっかり忘れてしまった。

 母に「家に電話しなさいよ」と言われて、電話してはみたが、今までわたしのことなど忘れていたらしきゾエが、いきなり母の声を聴いて恋しくなったようで、泣いたりするものだから、JPに代わってから「もう電話しないからね」と言った。翌日から学校の冬休みで、翌々日にはナルボンヌの実家に連れて行くらしいので、もう自宅には電話しなくてもいいと言われる。
いきなり開放感〜〜。自由の身〜〜〜。

 母に「何を食べたいか?」と訊かれれば、たいていの場合、インスタント・ラーメンと応える。子どものとき具合が悪くて学校を休んだ日に「なんでも好きなものを食べさせてやる」と言われたら、「ラーメンかハンバーグ」と言ったものだ。インスタント・ラーメンの中でも、日新のカップラーメンでカレー味じゃないヤツか、チキンラーメンか、出前一丁か、そういう《基本の》ラーメンに、野菜も焼豚もなんにも入れず、できるだけお汁の少ない、味の濃い、しかも、麺は固めのを、音を立てずに食べるのが、第一希望。
 が、しかし、ちょっとは奮発したい母心のおかげ(せい)で、《どさんこラーメン》から、本格みそラーメンと焼き飯と餃子まで届いてしまった。しかもちゃんと2人分。量の多さからして、これを2人じゃねえ〜と思っていたら、割り箸はちゃんと4人分あった。
 母は全部食べられなかったけれども、もちろんわたしは食べた。割り箸2本分はキープできたので、次回の遠足に再利用できるじゃないか。

 出しっ放しの温泉に入り、心も身体もすっきりポカポカ。指宿はいいね〜〜。

 母はしゃべる。しゃべる。ひたすらしゃべる。夜中の2時までもしゃべる。
わたしはとにかく話を聞き、うわさを聞き、報告を聞き、レポートを聞き、頭がコタツのテーブルにぶつかり始めると、いきなり「あんた。もう寝なさい。夜更かししたらダメだよ」と母に小突かれる。

 母と並んで寝る。父が寝ていたところに寝る。布団に入ったら、もう何も考えられなかった。

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