2007/06/05

レクレ・マジック



 色とりどりの花や動物の描かれた、キャラバン隊が、カーモーにやって来た。
ノエミとゾエはこのキャラバン隊を、春のバカンスの時にナルボンヌという地中海の街で見た。わたしとJPは、高速道路でとろとろと走っている、このキャラバン隊を見たことがある。
 派手な装いのトラックがいかにも、サーカスかなにかをやっているキャラバン隊らしかった。

市役所の招待で、幼稚園の年中組と年長組の約65名が、《レクレ・マジック》のショーを見に行けることになった。
今週はずうっと雨模様で、この日も朝から雨が降っていた。

 わたしは、この日の午後に、トゥールーズに年二回だけ巡回してくるマルセイユ在仏領事館の領事さんに会うために、トゥールーズに行く予定だったので、雨になって《レクレ・マジック》のショーが中止になってくれることを密かに祈っていた。
 「引率してください」と言われた時には、ショーは午前中だから行けると思って、軽く引き受けてしまった。ところが後になって、ショーも領事館も午後の同じ時間帯だということがわかった。
「仕方ない、領事さんには次の日会いに行けばいいや」まずはゾエが優先。行くと約束したのに行かないと言ったら絶交される。

 幼稚園からショーの会場まで、子どもの足で約30分ぐらい歩かなければならない。大通りも商店街の大型駐車場も通り抜けなければならないし、横断歩道も渡らなければならない。
 途中にある教会でお葬式が行われようとしていた。霊柩車を待つ教会広場を突っ切らなければならない。ちょうど子どもたちが教会の玄関を通過しようとしていた時に、お花に飾られた棺が子どもたちの目の前に現れた。「結婚式だー」と言って騒ぐ子どもたちを静かにさせるのが大変だった。
 商店街を歩いていると、人々が道を開ける。子どもたちが挨拶をしてくれるので、人々の顔がほころぶ。たまに子どもたちの大合唱も始まる。歩道に犬の糞などが転がっていると、「気をつけろー」の声が、波のように前から後ろに広がっていく。後ろの子にかかとを踏まれて靴が脱げる子や、靴ひもがほどけてこける子ども続出。横断歩道を渡る時には、先頭は信号が青になってから渡り始めるけれども、65人全員が無事に渡り終わるまでには「青信号二つ分」ぐらいの時間が必要。だから、ちょっとした渋滞が起こった。大人たちは嫌な顔をせずに、子どもたちが通過するのを待ってくれている。
 子どもたちと歩くと、歩道に飛び出した雨戸や、電柱や鉄柱の設置のまずさや、歩道の狭さや、横断歩道が変な角度に設置されている点や、道路の汚さに気づく。

 レクレ・マジックに招待されたのはジャン・ジョレス幼稚園だけではなかったけれども、ゾエたちは一番に到着したおかげで一等席が確保できた。レクレ・マジックのショーは、玉乗りやお手玉などのショー。器械体操を取り入れたアクロバット。歌。踊り。おもしろい楽器を使った音楽。合唱。子どもたちにも唄わせる。手を高く挙げて波や風を作らせるなど、子どもたちをショーに参加させる。キャラバンの一部がパカッと開いて、操り人形の舞台になる。手品。漫才。1時間半のあいだ笑い通しだった。
 一番楽しかったのは、2匹の犬のショー。ライオンでもゾウでもない、普通のペット。みんなの家にもいそうな、雑種の子犬たちが、クルーンといっしょにちょっとした芸をする。ノエミだったら「わたしもあんな芸ぐらい、ボボにさせられるわ」と言いそうな、まあ、大したことない芸。でも、ボボには絶対にできないおもしろ芸。ゾエが最前列でゲラゲラ笑っているのが聞こえた。

 来る時には雨が降りそうで、冷たい風が吹き荒れていたのに、子どもたちの笑い声で雲が吹き飛んでしまったようだった。
青空が見え、太陽が顔を出し、気温がどんどん上がって、子どもたちはコートとセーターを脱いだ。
 帰り道は、3時のおやつを外してお腹をすかせた子ども、お昼寝の時間をもらえなくて眠い子ども、脱いだコートやセーターが邪魔でうまく歩けない子ども。。。なんだかみんな疲れていて、学校までの上り坂がちょっと大変だった。

 ちょうど4時半に到着。ママたちがお迎えに来ている時間だった。

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