2006/08/12

地中海へ

 《か》さんたちには申し分けなかったが、リムジンバスに自宅前まで来てもらって、空港までわたし抜きで行ってもらうことになった。リムジンバスと言っても、個人タクシーみたいなもので、ほかに乗り合いの人がいなければ、一人で90ユーロも払うことになる。

 《か》さんにはこの日は電車でトゥールーズまで、そこからタクシーで空港まで行ってもらうことになっていたので、従兄たちをナルボンヌの義父母の家に案内することは、ずっと前から決めていた。義父母の家にはパリから帰郷している弟たちも揃っていて、お昼ご飯を一緒に食べることになっている。

 従兄たちと一緒にトゥールーズ経由で《か》さんを空港まで送るというてもあったのだが、ものすごい遠回りになるのと、遠回りするのに高速で行くから、3日間放ったらかしにした従兄たちに、何も観光させてあげられないことになる。ひとりで電車で行くのは不安という《か》さんに頼み込んで、わたし抜きで空港に行ってもらった。ちょっと心残りなお別れ。

 朝《か》さんを自宅前で送り出してすぐに、従兄一家を民宿へ迎えに行った。みんなは朝早くにもかかわらず準備万端、玄関前で待っていた。 

 高速は使いたくない。小さな山路や、村や商店街を抜け、写真撮影のための休憩もしながらゆっくり行きたい。子どもたちもおトイレや、おやつ休憩が必要だ。車の中で従兄の奥さんとたくさんおしゃべりできた。ゾエは後ろの席で、お兄ちゃんと仲良く遊んでいる。

 ナルボンヌには11時ごろ到着。久しぶりの感動的な再会(義父母と従兄は、11年前のわたしの結婚披露宴で会っている)のあと、義父母の家でアペリティフ。そのあと近くのレストランのテラスでお食事をすることになった。子どもたちには大型の遊具のある、とても広い松林をテラスにしたレストランだった。

 食後、従兄の念願だった地中海を見るために、海岸へ向かう。風が強く、水は冷たかったが、みんな大喜びだった。びしょ濡れになって水に入っている。指宿の者には、長い間海を見れないということはとても淋しいものだ。そして、海の向こうに大隅半島のない、こんなに広い海を見るというのは、あこがれだ。これほど遠くまで来て、この海が指宿まで繋がっていると思うと感動する。
この海の水に脚を浸して、はしゃいでいる従兄の気持ちがよくわかった。

 夕方義父母宅に戻って、みんなはプールで泳いだ。風よけのカバーがついているプールなので、温水プールみたいに暖かい水だ。みんながはしゃいでいる間、わたしは昼寝をした。

 夕日とミディ運河を左手に見ながら、帰途につく。オレンジの光がどこまでもまっすぐ続く、プラタナスの並木道に見え隠れする。夏休みの終わりが近づいている。
 夕食は、出発前に支度してあったカレーライス。子どもも大人も大喜び。日本の食事がもう恋しくなっているらしい。わたしの《カレーもどき》にも歓声が上がる。

 こーんなにいい日はないというぐらい、楽しい一日であった。 つづく

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