2006/08/03

ご到着

 待ちに待った日が来た。友達の《か》さんと娘さんの《ゆ》ちゃんが着く日。午前中にやっとサロンにテレビが入った。わたしたちの部屋を空けて、お客様用の寝室に仕立てた。わたしたちはサロンに寝るつもり。

 子どもたちが大喜びでビデオを見ている。実はアンテナが調子悪くて、テレビを見ることができないまま。一年半ぶりのテレビ。一番に何が見たいかと訊くと『キャッツ・アンド・ドッグス』という映画を選んでいた。この映画の主役のピーグル犬が《ボボ》みたいで、この映画はすごく好きだ。フランス語版は、人気スターが吹き替えをしていて、とっても面白い。

 夕方、子どもたちと3人で、トゥールーズのブラニャック空港へ向かった。お天気は涼しく、冷房付きでなくても、お客さんをカーモーまで連れて戻れそうだ。夜の8時ごろ着くというので、家を出る時に夕食用のサンドイッチを持った。

 空港の出発ロビーで、飛行機を眺めながらサンドイッチを食べた。
「置き去りの荷物は、直ちに処分されます」という放送が、何度も流れていた。
レンタカー屋の前には列ができていた。ここ数週間友達のためのレンタカーを探していて、車なんかもう数週間前から1台もないと言われたわたしなので、並んでいる人たちが気の毒だった。
ドイツやイタリアに向かう飛行機の受付ロビーで、大きなスーツケースを持っている人たちがうらやましかった。
到着して抱き合っている人たちを見て、涙が出そうだった。
出発前の待合室で、一人静かに空中を見つめながら、ぼんやりアイスクリームをなめているサラリーマン風の男性がいて、ゾエが物欲しそうに見ていた。その人の前を通り過ぎてから、「大人のくせに子どもみたいなアイスクリーム食べてた」と言った。

 友達がパリで乗り換えた飛行機は、20分ぐらい遅れて到着した。
ドキドキして待っていたわりに、すぐにわかった。
その日日本からトゥールーズまでの直行で到着した人は数人だけで、再会を果たして、ちょっと言葉を交わしたらすぐに、パリから乗った人たちとは異なる荷物の受取所へ流されていってしまった。
税関の検査で引っかかっていないかしらとか、出て来れるかしらと、心配した。

 自宅まで1時間ちょっと、トゥールーズの夕暮れをバックに、カーモーへ向かった。
到着するとすぐに、《か》さんはスーツケースの中から、溢れるほどのお土産を取り出した。
ご主人のご実家が沖縄なので、沖縄の物が沢山入っていて、もの珍しかった。
それから子どもの文房具や、服、お菓子など。。。。うれしい。
自分たちの持ち物はほんのちょっとだった。
《ユ》ちゃんが
「お父さんが声の吹き替えに参加してるの」
と言って、日本語版の『キャッツ・アンド・ドッグス』のDVDをくれた。
ほほお、奇遇。友達は今やほぼ空っぽとなったスーツケースに目を落としながら、
「たくさん買い物して帰るつもり」
と宣言した。

                           続く

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