2006/07/25

生き延びること、はや4年、、、

 ゾエが4歳になった。
 お誕生日はやはり母と過ごしたいというので、ナルボンヌのJPの両親宅へ迎えに行くか、それともカーモーに連れて帰ってもらうか、ずうっと悩んでいた。でも、JPの休み中にサロンの改修を終わらせたかったし、うちのクーラーのない車では高速道路の移動はちょおっと辛かったので、渋っていたら、両親がクーラーのある車で、子どもたちを送ってくれた。2週間もうるさい孫たちの世話をして、疲れていて、早く送り返したかったのかもたのかもしれない。
 
 ナルボンヌから戻ると、いつものごとく、子どもたちの持ち物が増えている。ずいぶん楽しく過ごしたようだ。持ち物は増えているのに、肝心なものを忘れて来た、と言って、ゾエが泣いている。

 おもちゃ屋に一緒に行って、自分で選んだ誕生日のプレゼントを、祖父母のミスで玄関に忘れて来たのだった。ノエミはお小遣いで買ったプレゼントもいっしょに置き忘れたらしい。夏休み中に買ってもらったおもちゃも数点忘れた。
 「全部まとめてあったのに、出掛けに子どもたちが興奮してうるさくしていたので。」
わかります。わかります。
 夏休に入り子どもたちが消えると、わたしはさっそく《隔離病棟(=物置)》から古くなったおもちゃなどを出した。段ボール箱二箱分くらいになったので、早いとこ赤十字に持って行くつもり。小鬼の居ぬ間にと思って掃除した我が家に、これ以上物が増えたら困るので、忘れて来ていただいて、助かった。

 親からのゾエへのプレゼントはずっと決まらず、当日の午前中にJPと買いに行った。
 ノエミが4歳の時には自転車なんぞを買ってあげたものだったが、ゾエにはノエミのお下がりで我慢してもらっている。ゾエはほとんどお下がりだけで生きている。でも、ノエミはものを大事にするほうだから、あまり不自由はしていない、と思う。
 わたしだって三人娘の一番下だったから、お下がりが多かった。小さい頃には文句を言ったのかもしれないが、大人になってからはお下がりをもらって不自由をしたとか、恥をかいたとかいうようなことは思い出さない。
 はじめての子どもは、せっかく女の子だったから、きれいな服をたくさん買ってあげたり、手作りしてあげたこともあるが、お下がりをもらうのはいつでもとてもうれしいものだ。フランスにはお下がりをくれるような親戚もいないから、くれるという人がいたら真っ赤な他人でも喜んでもらう。経済的に助かるから、というだけではなくて、親しい人が、大切に使ったものを「これ好きだったけど、あげる」と言われると、とてもうれしくなる。

 自分で選んで買ってもらったプレゼントを、大人のミスでもらえず、ゾエはどんなに悔しかっただろうと思う。でも本人は「もう一度お祝いしてもらう」と言って泣くのをやめた。
よし、よし。

 前日の夜に作ったイチゴのケーキは、スポンジケーキがうまくできずに、薄っぺらのペラペラになってしまった。わたしのやることにはあまり文句を言わないJPが、ケーキをじっと見て考えている。
「もしかして、おいしそうじゃない?これ?」
「うむ。。。暑いし。。。アイスクリームケーキを買って来てあげよう」
作り直そうと思っていたところに、アイスクリームケーキを買ってくれるとは有り難い。
「パパがおいしいケーキを買ってくれるってー」と喜んでいたら、ゾエが、
「ママンのケーキじゃないといやだ」と言う。
うっ。暑いゾー
材料常備、いつでもOKのチョコレートケーキを作り直した。
オーブンに火を入れて、家の中の温度が上がってしまったが、主役は大喜び。
ろうそくを4本立てた。台所は熱気でムンムンだ。

 怪我もせず、大きな病気もせず、すくすくと育っている。
学年末の評価では、「この子は幼稚園で教えることは、すでに何でもできる」と言われた。それで来年度は大きいこのクラスに加えてもらう。小さい子がぐずぐずしていると腹を立てるらしく、気難しいとも言われた。機械的にみんなと同じことをやろうとはしないらしい。孤独を愛する女。父親に似たか?危ないぞ。
 2歳ぐらいの時に、幼稚園で撮ったビデオを見せてもらった。子どもたちがおもちゃの自動車を巡って喧嘩を始めたシーンがあった。沢山の中の《その》1台を争って喧嘩をしている。クラスみんながその渦中に呑まれている。泣いたり喚いたり、クラスメートの服を引っぱる子、殴る子もいる。そこに、ゾエがいなかった。カメラは渦中のクラスメートから離れて、ずっと後ろに突っ立ち、難しい顔をして腕組みするゾエにズームを当てる。
「バッカじゃないの」とでも言いたそうな、冷たい薄笑いをしている。

 こんな人間が家の中の人口の半分を占めるとなると、先が思いやられる。

Aucun commentaire: