2006/07/04

引率

 学校は本日まで。すでに子どもの数は急激に減っている。
フランスでは結婚した人の半分は離婚しているらしい。
多くの子どもは母親と暮らしていて、週末にお父さんと過ごしているので、金曜日や土曜日に遊ぶ約束を取り付けるのは、非常に難しい。
「週末はお父さんのところに行くから」と言われる。
父親が遠くに住んでいる場合は、長い休みの時に半分ずつ、ということになっている家庭も多い。
だから、2ヶ月の夏休みは1ヶ月父親の所に行ってしまう子どももいっぱいいる。

 学校の人口は減っているし、先生たちはすでに2週間前から授業らしきものをやっていないが、いちおう残っている行事は消化せねばならない。
ボート実習があと一回終わっていない。

 数日前「すみません、誰もいないので、マダム・ダニエル 引率お願いします」っと、校門の前で先生にとっ捕まってしまった。ご近所に住んでいる担任のミゲレーズ先生は、わたしのことをすでにわかっているので、まずお願いする前に「誰もいないので」と前置きしてから、ちゃんと頭を下げるあたりが、かわいらしい。
 そういえばこの先生だけだった。教師陣で、招待を受けて、律儀にピクニックにも参加したのは。ちゃんとサッカーに参加して、汗をかいてから、さっさと引き揚げて行くという常識も心得ておられた。

 「。。。ハイ いいですよ」
「じゃ、すみませんけど、大人はみんなで持ち寄りのピクニックにするので、デザートをお願いします」
 チーズやワインやソーセージは高くつくので、《デザート》係にしといてくれるあたりが、ご親切である。この前も持って行って好評だった、いまはまっている《リンゴのクランブル》に決めた。
 
 JPは週末から2週間ものバカンスをとっている。有給休暇を溜めておいたので、休みは8月にもある。こんなふうに公務員が長ーいこと休むから、7月と8月は、公共機関で事が進まないんだ。

 「ねえ、わたしはリンゴのクランブルで参加するから、JPは身体で参加してよ。」
休みのいっぱいある公務員に対して、夏休みとなったら一挙に忙しくなってしまう主婦は、多少の悪意を込めて言うのだ。
 JPが応える前にノエミが「わーい、パパが来てくれるー。お父さんが行事に参加してくれることってないから、みんなびっくりするよ」素直に喜んでいる。

 JPがわたしのクランブルを下げて、ボート研修の引率に行ってくれた。
いつも話している《ペストみたいなクロエちゃん》や《素直でかわいいクレモン》など、みんなの名前を覚えて帰ってきた。これで食卓の話題が増える。
 ノエミによると、きかない子どもを、まるで教師みたいに怒鳴り散らして、娘は恥をかいたが、担任には感謝されたらしい。ちゃんと指導員といっしょにモーターボートに乗って、子どもの小型ヨットを応援したそうだ。船乗りの血が騒いだ?

 ノエミが「更衣室で靴を間違えてきちゃったあー」と言って泣き叫んでいる。
「誰の靴と間違えたんだろう。持って帰ってきてしまたこのピンクの靴は、誰のだろう?覚えてる?覚えてないなんて役立たず!」
まるでわたしを叱るみたいに、恐れ多くもJPを怒鳴りつけて、いつもわたしに怒鳴り返されるのの倍ぐらい、JPに叱られている。ふとどきな娘である。

 リュックサックの底に、ちゃんと自分の靴はあったので、ゾエから「ノエミはドロボー」っとレッテルを貼られた。
学校は今日で終わりだから、担任は今日の午後以降には、もう絶対に学校には出て来ない。職員室の電話をとるような人はいない。クラスには名簿とか、連絡網なるものはない。

 これは誰の靴なんだろうねえー

 仕方ないから、捨てないで新学期までキープしておく。
夏の二ヶ月の間に、子どもの足はどんどん大きくなるから、新学期に持ち主がわかっても、もう履けないだろう。新しい靴なのに。。。
 ノエミのせいで親に叱られているクラスメートが居ると思うと、胸が痛いけど。。。明日からバーゲンセールだし。。。夏のサンダルでも買ってもらえることだろう。
運動靴とはおさらば。

    恐怖の夏休みに突入。。。

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