2006/05/10

運命の出逢い!?

 80年代後半に、渋谷のある本屋さんでレジを打っていたとき、「エンドーさん?」とびっくりした声で呼ばれた。顔を上げるとそこには指宿の同級生が立っていた。大都会の真ん中の、地下1階から地上8階まである本屋さんだった。

 95年にフランスで結婚して、トゥーロンという地方の町に住んでいた。子供はまだなく、JPは船に乗っていた。巨大デパートの、上下に交錯するエスカレーターで、向かいを降りて来る人が「あ」ッと叫んだ。お互いに首をぐるっと回して行方を追った。彼は、一度下まで降りたエスカレーターをもう一度上り直して、私のいる所まで来てくれた。90年ぐらいに、ニューカレドニアの自動車学校でお世話になった先生だった。

 剣道の恩師、佐藤先生にはアヴィニョンでばったり遭い、引っ越して来てまたトゥールーズでばったり遭った。

 鹿児島出身で、ひとつ年上で、誕生日が同じで、彼女のお兄さんは私の同級生とつきあっていたという、そんな友達も居る。結婚相手はお互いに船乗りだった。彼女と知り合った時に、こんな運命の出逢いはもう二度とないだろうと思っていた。

 ところがどっこい。このカーモーで、すてきな日本人に出逢った。ただの日本人ではなくて、書道家で、禅や俳句にも通じた方で、茶の湯や生け花などと、様々な武道との繋がりについて学び、修行を積まれた方だった。その方が、カーモーに、日仏交流の場を開こうとしているのだ。

 剣道や居合道にも関心があって、とおっしゃるので、私がそれをやっていると話すと、お弟子さんが最近「鹿児島で示現流を学んで戻ったばかり。鹿児島が気に入り、指宿がとても好きだった」とおっしゃる。
「わたし、指宿出身なんですけど」お互い驚く。
なにかの縁だねえ。。。
 その方と、同席していた娘さんと、私たち三人同じ未年だったので、かなりうけた。

 「指宿の秋元さんって、知ってる?」
不思議な質問だが、外国で知り合った日本人同士というのは、こーんなとんでもない会話をするものだ。ちなみに指宿には「秋元」という地名があるので、秋元さんという人はいっぱい知っている。指宿の「アキモト」さんはみんな「元」の字を書く。学校にも何人も居た。

 でも「秋元さんって知ってる?」と訊かれた時に、私には一人しか思い浮かばなかった。
「秋元塾のかおる先生じゃあないですよねえ」
そうだった!!ちょっとぞっとした。

 去年帰った時には、区画整理のためになくなってしまっていたけれども、父が眠っている乗船寺の目の前にあった、塾の先生だ。初めて「ロブスター」という英単語を教えてくれた人だ。毎日学校の行き帰りにあいさつしていた先生だ。

 剣道と居合道を稽古しながら、武士の教養であった茶の湯や、書画や俳句について、もっと知りたいと思っていた矢先だった。歴史や文化を勉強するために通信教育を探していたところだった。何かもっと日本のことを学ばせていただけそうで、これからとても楽しみだ。

Aucun commentaire: