2006/03/16

お友達

 子どもたちを学校に送ってから、靴を脱がないで今度はボボを公園に連れて行くのが、私の朝の定番だ。でもその時間帯は、まだ校門前でママ連がおしゃべりをしていることも多いので、ボボと一緒にママ連の前を通り過ぎるのは、ちょっと恥ずかしい。

 ボボは、一刻も早く用を足したい。でも、アスファルトが嫌いなので、家から公園までの200メートルを、まっしぐらに走る。そして私はよく「犬に散歩してもらっているの?」と冷やかされるほど、ボボに勢いよく引っぱられて、ぜーぜー喉を鳴らしながら走らされる。

 公園の入り口で「も」さんに会った。「今朝は仕事が11時からだから余裕なの。一緒に散歩してもいいかな?」と言ってついて来た。
 私はあの苦しい納品あとの、久々のさわやかな朝で、ちょっと遠くまで歩こうかしらと思っていた時だった。暖かく日差しが気持ちいいから、公園を一緒に歩きましょうよっと言われた。

 「も」さんとは、誘いあって図書館の読み聴かせに参加したことがあるし、朝市で一緒になって買い物かごを車に積んでもらったこともある。ゾエのクラスメート、アントワンくんのお母さん。見かけはカンボジア人(ほとんど中国人の顔)で、身長は155センチだから私よりも大きいながらも、私と目線がほぼ同じ、というこの辺ではかなり珍しい存在だ。

 公園を一周して、コーヒーを飲みに来ないかと誘ってみた。そうしたら喜んで遊びに来た。そのあと「も」さんの家にも来て欲しいというので、コーヒーを飲んだら今度は「も」さんの家に行った。わりと近くなので、歩いて行けないこともなさそうだ。「も」さんは車で子供の送り迎えをしているので、道路ではあまりすれ違うことがなかったのだ。

 「も」さんは、室内装飾や絵画、日曜大工や台所まわりの仕事(ジャムを作ったり、その他の保存食を作ること)が大好きだというだけあって、彼女の家は手作りのアイデア作品で溢れていた。彼女が自分で描いた絵や、彫刻などもいっぱいあって、どれも素晴らしく、その才能にほれぼれ、たちまち一目置く存在となった。今は臨時の仕事で、お年寄りの世話をしている。口は悪いけどきっと優しい人に違いない。

 この日以来、彼女とはしょっちゅう会っている。子供を預かりあったりもする。近いうちに秘密のレシピを交換しあうことや、一緒に日曜大工をすることも計画している。

 アントワンくんは今やゾエのダーリンとなり、とっても大事な親友となった。いつも他人とは居心地悪そうなJPも、「も」さんの口の悪さや、態度の大きさや、冗談のタイミングは、けっこう気に入ったようだ。「も」さんのご主人もJPに負けず劣らず控えめで、かなり無口な方だ。JPとは体つきも目つきも違う。頭は丸刈り。背が低くて、横にどーんと広い。でも太っているのではなくて筋肉もりもり。巨大スーパーの入り口に居そうなガードマン風の目つき。実は彼も元軍人、JPとは違う硬派な陸軍。今はトラック野郎。ディズニーランドや、幼児向けのコンサートなどに行くと、必ず数名のガードマンに取り囲まれて、身分証明を求められ、時には身体検査までされてしまう。見かけはそんなだが、「飛行機が恐い」と言いながら、汗をかいている辺りが、やけにかわいい。奥さんの「も」さんに「うちの人悪役みたいな顔してるし」と平気で言われて赤くなっている。JPとは軍人時代の話で盛り上がっていた。(二人ともアフリカ勤務経験あり)

 家族ぐるみでおつきあいできそうな友達ができたかもしれない。

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