2006/02/03

私にはこの道しかなさそう。

 ユーロのロトくじというのがあるらしい。朝からラジオではこのニュースばかり。
当選者がない場合には、金額が次回に繰越しとなるシステムを、日本では「キャリーオーバー」と呼んでいるらしいのだが、そのシステムのおかげで、ユーロのロトくじは 11週間も当選者がいないために、今週の金曜日には、たまりにたまった繰越金額が、なんと1億4千6百万ユーロにも上るそうだ。世界広しといえども、そんなお金見たことのない人間の方が多いだろう。

 ラジオで盛んに「146ミリオン」と言っていた。よく売れる本のことを「ミリオンセラー」とか、「大金持ち」のことを「ミリオネー(ル)」と呼ぶのは知っているが、「ミリオン」って数字にしたらいくらなんだろう。。。と思って辞書を引いたら「ミリオン」は「百万」と出ていた。ほおおお。

 1億4千6百万ユーロは、数人に分配されるらしい。多すぎるからだろうか?仕組みがイマイチよくわからない。10人か、100人で分けてもけっこうな金額だ。

 ラジオで、「こんなすごいクジはよく、生まれてはじめて挑戦した人が当るんですよねえ」などと言っていたので、買ってみようかしらんと思った。

 以前ロトクジとはちょっと違うが、カードをこすって星の数がいくつでいくらもらえるという、簡単なカードを買ったことがある。《ミリオネー(ル)百万長者?》という名前のカードだった。
 友達の誕生日に買ったプレゼントがあまりにも貧弱で、「こんなプレゼント、渡すのは気がひけるなあ」と思っていた時に、絵はがきを買うために入った知らない町のタバコ屋で、そのカードのクジを売っていて、試しにカードを1枚か2枚買った。買ったけど、どうやってゲームに参加するのかもわからず、店の人に訊いたぐらいだ。

 それで、その貧弱なプレゼントにクジのカードをつけて渡した。「あーら、アンタまたこんなものに無駄遣いしたわね」なんて言われながら「お茶目でしょ」とごまかしつつ《ちょっとしたプレゼント》を渡した。

 なかなか、お茶目な案であった。

 実はそのクジ券は大当たりで、相手が目に涙を浮かべるほど喜ばしい金額だった。そして、私が悔し泣きするほどの金額だった。いくらだったのかは忘れた。彼が億万長者になったという噂は聞いていないので、人にポンとあげるにはまあまあな額でも、贅沢三昧のバカンスを過ごせるような金額ではなかったのだ。

 今朝、朝市で「ハンディーキャップ子供の会にご協力を」と言われ、ヨーロッパとフランスの国旗が付録についているボンボンを、10ユーロ札で買った。おつりが2ユーロ硬貨1個だったのでびっくりした。こーんなボンボン8ユーロもしない。コカコーラだって1.5ユーロだ。それに、あとで買ったボンボンを見たら、《ハンディーキャップ子供の会》のために、確かにそのお金が使われるという証明は、どこにも見当たらなかった。またやられた。。。
 いいことをしようと思って出したお金だから、「返してちょうだい」という勇気もなく、ボンボンを握って我が家へ向かった。ヨーロッパの旗ももらえたし。。。ううう

 手には2ユーロ。近所のお店でロトくじでも買うかと思って入ったら、1億4千6百万ユーロのかかっているロトくじは売っておらず、私がいつか当たりを出して、友人に抱きしめられた《百万長者》のカードが売られていた。よし、この2ユーロでクジを買ってみよう。

 じゃじゃーん。インチキ募金のあまり2ユーロで買った百万長者のカードくじで、当ったのは2ユーロだった。

「まっとうに生きよ。おつりは要らねえ。持ってけドロボー」などなどという言葉が頭の中を駆け巡り、私はもう寄り道をせずに静かに帰宅した。私には真直ぐカエルの道しかなかった。

 2ユーロはカエルの貯金箱に貯金した。カエルの貯金箱はお坊さまの横に置いてある。お坊さまにごめんなさいと言いながら、手を合わせ、ちゃりんとお金が落ちたその瞬間に、ほっとした。
1億ユーロも当って、テレビの取材陣が我が家の玄関先に集まったら、困るしねえ。

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